外壁塗装は単純に「壁に色を塗ってキレイにする」ということだけが目的ではありません。
「家を守ること」。これも重要な目的です。
外壁塗装は家を美しく見せるだけではなく、家を守るいわばバリアのようなもの。
外壁は、柱や梁といった骨組み、また、断熱材や防水シートなどを覆う仕上げ材で構成されています。
その外壁を、紫外線や風雨などから保護する役目を果たしているのが、外壁塗装です。
この塗装が劣化すると、外壁にさまざまな悪影響を及ぼし、場合によっては外壁の全面張替え、最悪の場合は建て替えを余儀なくされるケースもあるのです。
築年数が長くなれば、色が薄くなったりひび割れを起こしたりといった、見た目にもわかる老朽化があります。
目に見えない所も老朽化していますが、外壁で保護して劣化するのを抑えているのです。
いわば家の老化を少しでも食い止める、「有効な延命策」とも言えるのが、外壁塗装なのです。
塗装の劣化で特に怖いのは、防水効果がなくなることです。
耐久性が落ちてくると、ひび割れがおきたり、壁が反ったりして防水効果がなくなります。
防水効果がなくなると、雨水や外気の湿気の浸入を防げなくなり、壁自体が湿気によるダメージを受けます。
中の金属が錆びる、木材部分が腐食するといった現象が起きて、大切な家自体を傷めることになります。
こうなると外壁の塗り替えや、部分的な修復だけでは対処できなくなってしまうのです。
そうなる前に、適切な塗装をすることが、家を長持ちさせ、出費を抑えることにもなるのです。
理想的な塗り替え時期の目安として、塗装業界では、木・鉄3年、壁8年と言われています。
住宅支援機構(旧・住宅金融公庫)のマイホーム維持点検ガイドラインでも、屋外部分の木部は2~3年、鉄部は3~5年を塗り替え目安にしていますし、外壁は15~20年単位での全面補修の検討が記されています。
しかし、それはあくまで一般的なこと。
外壁の素材はもちろん、立地条件、また以前に塗り替えをされたことのある場合は、その塗装の種類によっても適切な塗り替え時期は微妙に異なります。
「我が家の場合はどうなんだろう?」という方には、ご自身で、家周りをちょっと見ればわかる「塗替えサイン」があります。
まずはご自身の目で、次に上げる項目を参考に、塗り替えが必要な時期かどうかをご確認ください。
確認した結果、気になる症状があったからといって、早急に塗装が必要というわけではありません。ただ、放っておくとさらに深刻な状態になり、塗り替えだけではすまなくなる場合も考えられます。
もしチェック項目が複数あるようなら、要注意です。
信頼できる業者にご相談することをお勧めします。
どんなお宅でも、気にすると一番はじめに目に付いてしまう外壁のひび割れ。外壁チェックの代表格ともいえるでしょう。
素人目にもわかるので、訪問販売の営業マンに目をつけられやすい箇所でもあります。
ちょっとした振動などで起こるひび割れは、小規模な地震や台風が多い地域では、たいていの家にあるものです。
また、国道や線路の近くのお宅にも、よく見受けられますのでそれほど大騒ぎするものではありません。あくまでひとつの目安です。
ただし、ひび割れにはさまざまな原因があります。たとえば、外壁が基準の厚みより薄い、いわゆる手抜き工事であった場合。あるいは、建物自体にひずみが生じている場合など、深刻なケースもあります。
あまりにひどいひび割れの場合は、信頼できる業者に点検を依頼したほうがいいでしょう。
どんなお宅にも南面と北面があり、日向と日陰では変色の度合いも違います。
大抵は建物の充分な採光ができるよう、南側にベランダを作るなどスペースを広く取ります。
ですから紫外線や風雨の影響を受けやすく、外壁の傷みが早いものです。
南側外壁の、陽が当たる場所と日陰を比較してみましょう。
同じ面で壁の色が違って見えるほどの変色があれば、そろそろ塗り替えのサインです。
築年数が長いお宅では、雨水などが大量にかかる場所に多く見られます。
また、塗料がきちんとくっついていなかった場合(密着不良といいます)にも、塗膜のはがれはおこりやすくなります。
この密着不良の場合は注意が必要です。
激しい温度変化による場合もありますが、前回の塗装時に下地処理が不足していたり処理が不十分だったりする場合も考えられるからです。
密着不良の場合は、そこからはがれが拡大していく可能性が考えられます。
程度によってははがれた箇所だけ補修すればすむ場合もありますが、範囲が広いとすべてをはがして張替えることになってしまいます。
そうなるとすると思わぬ費用がかかってしまいますので、早目の対応をお勧めします。
ひと昔前は、3年程度でさびが目立つこともありました。
しかし、今はさびに強い良質の塗料も開発され、耐久性も非常に良くなっています。
いずれにしても、目で見てすぐわかるようなさびの箇所が広範囲にわたるようでしたら、塗り替えのサインです。
こういった鉄部は、ベランダや外階段の手すりなどに多く使われていますので、安全のためにも早めの対処をお勧めします。
破風板に代表される木部は、他の部分に比べ水が当たることによる傷みが激しくなります。
傷みがひどくなり腐ってしまってからでは、塗り替えではなく取り替えが必要になります。そうなってしまう前に、頻繁にチェックをするように心がけましょう。
何かの拍子に手や上着などが触れた時、塗料の粉が付いてしまったという経験があれば、要注意です。
これは「チョーキング」といって、年数の経過などで塗った塗料が古くなったり変質したりして、粉状になってしまう現象です。
こんな状態になっていると、塗装の防水性が低くなっていますので水をはじかず、建物を保護する効果が低下していることになります。
このチョーキング現象は塗料の寿命目安をチェックする、代表格といえるものです。太陽光の刺激により起こる場合も多いので、南側の壁などでチェックしてみましょう。
壁と壁の隙間や、窓枠やサッシの周りにゴム状の塗料が塗ってあるのをご存知でしょうか?
これはコーキングといって、雨などの浸入を防ぐ防水材です。
コーキングは外壁よりも、劣化が早く生じる場合があります。
年数の経過によって塗料がひび割れたりはがれたり、チョーキングが見られたりします。
さらに劣化が進むと割れたり切れたりする現象が見られます。こうなると、コーキングの寿命です。
壁の塗り替え前にコーキングを補修するだけですむ場合もありますので、信頼できる業者に相談をしてみることをお勧めします。
外壁の北側や、湿気がたまりやすい場所には、コケやカビが生えることがあります。
これは、壁面に光沢がなくなってくると起こりやすいのですが、塗料に含まれる防カビ剤などの効果がなくなってきたサインです。
コケやカビは、美観を損なうだけでなく、壁面の劣化が進みやすくなります。
また、外壁のコケやカビが原因で、家の内部にカビや微生物が侵入したり、ダニが発生したりして、シックハウス症候群を引き起こす可能性もあります。
高圧洗浄でコケやカビをしっかりと落としてからの塗装が必要です。